歴史と法律実務

インターネット上で、「実は言っていない世界の名言ランキング」という投稿を見ました。このランキングは、世界(日本を含む)の歴史上の人物が言ったとされる有名な名言の中で、よくよく調べてみると実は言っていないものをまとめたものです。歴史が好きな私にとっては、なかなか興味深いものです。

一般的に知られている名言の中で、「実は言っていない」名言として、例えば次のようなものが挙げられています。

 

「ブルータス、お前もか」(ユリウス・カエサル)

「敵は本能寺にあり」(明智光秀)

「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」(マリー・アントワネット)

「余の辞書に不可能の文字はない」(ナポレオン・ボナパルト)

「人民の人民による人民のための政治」(エイブラハム・リンカーン)

「板垣死すとも自由は死せず」(板垣退助)

 

これらは、少し歴史をかじったことがある方なら誰もがご存じの名言ですが、どれも実は言っていないというのですから、なかなか驚きですね。

ここで重要なのは、「実は言っていない」とする根拠を、どれも古文書などの史料に求めているところです。

例えば、マリー・アントワネットの発言でいえば、記録上初めてこの発言が出てきたのは、ルソーの「告白」という書物ですが、そこには「大変身分の高い女性」が言った言葉とされているだけで、その女性が誰なのかは全く記載がないとのことです。それどころか、マリー・アントワネットは、実家のオーストリア王宮に宛てて市民の貧しさや暴動に心を痛めている旨の手紙まで送っているのです。このようなことから、マリー・アントワネットは、上記のような発言をしていないとの結論に至っています。

このような作業や思考は、我々が手がける法律実務の仕事にも非常に似ていると感じます。

歴史では、古文書などの資料から歴史的事実を確定していき、さらにその歴史的事実がどのような意味を持つかを評価していきます。他方、法律実務でも、証拠から事実を認定し、さらにそれが法律的にどのような意味を持つかを評価していきます。法律実務の事実認定は、基本的にその作業の繰り返しです。

このようなところから、歴史と法律実務は共通点があるように思います。ただし、歴史と法律実務が異なる点は、例えば中国最古の王朝が殷ではなく「夏」となったように、歴史は新たな史料が発見されれば歴史的事実がどんどん上書きされていくのに対し、法律の世界では、一度判決が確定すれば、新たな証拠が発見されたとしても、判決の根拠となった証拠が偽造などされていない限り、もはや覆せなくなるところでしょうか。

あとで上書きできない分,仕事のプレッシャーかかる毎日を過ごしております。

 

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