不貞行為を原因として、相手方に対し、慰謝料の支払いを求めた事例
本件における特殊性は、早期に慰謝料金額について合意することができたものの、相手方から過度な接触禁止条項や口外禁止条項の設定を求められ、和解交渉の中心的議論が慰謝料額ではなく、接触禁止条項や口外禁止条項といった付随的な合意事項であった事案。
当初、和解金額については、裁判を想定しても比較的高額な金額で合意することができました。
しかしながら、相手方からは、接触禁止条項や口外禁止条項に関し、過度に高額な違約金条項を設けるよう要求があり、交渉が難航しました。
接触禁止条項とは、本件が解決した後において、不貞行為に及んだ当事者同士が、再度不貞行為に及ぶことがないように接触しないことを定めたり、事後的なトラブルを避けるために請求者(被害者)と請求された者(加害者側)との接触を禁止する合意です。
一方で、口外禁止条項とは、本件の当事者らが、互いの名誉やプライバシーを守ることを目的にして、本件不貞行為に関する情報を第三者に漏らすことを禁止する合意です。解決に至ったにもかかわらず、不貞行為の事実関係や和解の内容といった事実関係を流布するような行為に及び、いわば嫌がらせのような行為に出てしまうことを許容すれば、解決の実効性が害されてしまう場合があります。そのため、このような口外禁止条項を付すのです。
これらの合意に加えて、違約金条項は、上記接触禁止条項・口外禁止条項の効力をより強固にするため、違反した場合に予め合意した金額の違約金を支払うような条項になります。
仮に、裁判手続に移行し、判決となった場合には、上記のような接触禁止条項や口外禁止条項を入れることはできません。判決では、通常、単に金銭の支払義務が明記されるのみであり、それ以上の不作為義務が課されることは御座いません。したがって、本件事案では、相手方より、過剰な金額であると考えられる違約金の設定が求められたため、裁判手続に移行することも辞さない構えで力強く交渉を行いました。
そうしたところ、結果的には、こちら側から提示した内容での和解に至ることができ、裁判手続を踏むことなく事件解決に至ることが出来ました。
交渉においては、訴訟も踏まえた緻密な見通しを立てたうえで、粘り強い交渉を行うことが、最終的に訴訟手続に移行することなく早期解決につながるという事例であったといえます。