相手方より提示された経済活動の自由への制限を一切なくしたうえでの示談解決に成功した事例
女性(依頼者)が、職場で知り合った男性と交際をしていたところ、男性の妻(相手方)より、不貞行為を理由とする慰謝料を請求された事例。この事案では、相手方が不貞行為を知った後に、依頼者の職場に事実上知らせるに等しい苦情を申し出る等していたため、その点に対する依頼者の職場におけるプライバシーや名誉を護る必要の有る事案であった。また、相手方は、解決の条件として、慰謝料の金額よりも依頼者の経済活動の自由を制約する内容の条件を重視していたため、その点の交渉も重要であった事案である。
民法上では、紛争の解決に当たっては、一定の例外を除き、金銭賠償の原則が定められている。したがって、この種の事案では、裁判所での解決を求め訴訟提起をした場合、判決にまで至ったとしても、金銭の支払が命じられるのみである。
そこで、弁護士としては、相手方の心情には一定の理解を示すものの、依頼者の今後の経済活動の自由、行動の自由を最大限護るべく、相手方と上記金銭賠償の原則を協調したうえ、示談解決を目指す交渉を行った。
また、弁護士が入る以前の段階で、相手方の直接的な行動により、依頼者の利益が侵害されていると評価し得る状況があったため、その点を強調したうえで減額交渉を行った。
最終的に、依頼者の経済活動や行動の自由を護りつつ、減額交渉を行うべく代理人として尽力した。
結論として、減額交渉に成功したうえ、相手方より提示された経済活動の自由への制限を内容とする条件も一切なくしたうえでの示談解決に成功した。
なお、この事案では、既に相手方による直接的な行動があり、これにより、依頼者が極めて不安な状態に置かれていた。その不安を完全に払拭するため、示談の内容においては、具体的な禁止行為を列挙したうえで、互いに迷惑行為に及ばないといったことを確認する内容での示談解決に成功した。
このように、不貞行為に及び、賠償責任を追及される依頼者においても、護られるべき権利を尊重したうえ、相手方にもその理解に努めるよう力強く交渉を行うことが大切な事案であったといえる。
その際には、被害者の心情にも配慮しつつ、こちらの利益を護るための条件も提示し、さらに減額交渉をしなければなない。そのためには、事案の整理と今後を見据えた説得的な解決内容の提示を行うことが必要であり、説得的且つ粘り強い交渉が必要不可欠であったといえる。