長期間継続的に不貞が継続していた事案で、不貞相手の消滅時効の主張を退けた事例
依頼者の夫と女性が長期間にわたって同棲関係にあったことを理由に、依頼者が不貞相手の女性に対し、慰謝料を請求した事案です。しかし、依頼者が夫の不貞の事実を知ったのは訴訟提起から3年以上前であったことから、不貞相手の方から消滅時効の主張がなされました。
配偶者による不貞の事実を知ったときから3年以上経過してしまった場合、不貞相手から消滅時効の主張がなされることが多々あります。
確かに、不法行為に基づく損害賠償請求権は3年で消滅時効にかかるとされています。
しかし、不法行為の消滅時効を定める民法724条前段は、消滅時効の起算点となる「損害及び加害者を知ったとき」につき、相手方に対して損害賠償請求権を行使することができる程度に相手方の情報を得たときとされています。具体的には、相手方の住所及び氏名を知れば、相手方に対して損害賠償請求権を行使できる程度に知ったときと考えられています。
したがって、たとえ不貞の事実を知ったとしても、不貞相手の住所及び氏名を知らなければ、消滅時効は進行しないこととなります。不貞相手から消滅時効の主張がなされた場合、不貞相手の住所及び氏名をいつ知ったかを良く確認し、それらを知った時点(それまでの時点では知らなかったこと)を綿密に立証することが重要になります。
本件の裁判では、依頼者の本人尋問によって、夫の不貞の事実を知るに至った経緯を述べることによって、訴訟提起から3年以内の時期まで、不貞相手の女性の氏名や住所までは知らなかったことを立証しました。それとともに、不貞相手の女性が主張する消滅時効の起算点の根拠となる事実について一つずつ反論し、反対尋問でも弾劾していきました。
これらの立証活動によって、不貞相手の女性による消滅時効の主張を退けることができました。
不貞の事実を知ってから長期間経過したとしても、必ずしも消滅時効の要件を充たしているわけではないため、本件では諦めずに主張立証を行なった結果、相手方の時効主張の排斥に成功した事例といえます。