夫の死後、夫の遺品整理の過程で依頼者(妻)が夫の不貞行為の事実を知るに至り、不貞相手に対して慰謝料請求をした事例。
夫の生前における不貞交際の事実自体には争いは無かったものの、夫の死後に不貞行為が発覚した事案であるため、不貞相手は、婚姻関係を破壊したという事実が認められないとして慰謝料の支払義務がないと反論したため、訴訟提起に及んだ。
訴訟の中では、配偶者の他界後に不貞の事実を知り、精神的苦痛を長期にわたって被っている依頼者の精神的苦痛の程度や長期に渡り秘密裡に交際を続けていた悪質性等を力強い主張で展開し続け、解決に向けたアプローチをした。
たとえ、配偶者の死亡後に不貞行為が発覚したとしても、依頼者において慰謝料請求を行う権利が失われる理由は全くない。むしろ、依頼者が他界した配偶者から、不貞行為に関する事情を一切聞くことが出来ず、問い詰めることすらもできない状態に置かれるため、依頼者が被った精神的苦痛の程度は、通常の事案に比して大きいということもできる事案です。
本件事案における依頼者は、配偶者の気持ちを知る事さえ許されず、その後の婚姻生活の中で夫婦関係を修復することも出来ず、証拠である手紙や写真のみが残存するだけであり、その悲しみや怒りを吐露する場もないような状況に追い込まれてしまいます。
この点について、東京地方裁判所平成24年5月8日の判決において、配偶者の死亡後に不貞行為を知ったと主張する者の慰謝料請求を否定するかのような内容の判断も御座います。しかしながら、当事務所としては、裁判所が過去に下した判断をそのまま受け入れるのではなく、あくまで本件事案に即して検討し、上記裁判例と本件との違いを詳細に主張したうえ、裁判所に向けた主張を展開していきました。
その結果、依頼者の請求権が否定されることはなく、依頼者の希望通り高額な金額(求償権を放棄した上で、200万円の支払をする旨の内容)で和解に至ることが出来ました。
なお、この事例では、賠償後の求償義務も相続するという困難な法律論も控えていましたが、その点も考慮に入れつつ、依頼者やご遺族にとって満足のいく解決結果を目指していき、上記のような解決結果を得ることができました。
本件のように、一見すると類似する事案の裁判例が請求の障壁となっているように思われる事案であっても、専門家に相談することで、裁判例とは異なる事案の特殊性を見出すことが可能となり、当該裁判例とは違った解決の糸口が見えてくるかもしれません。このような悩みを抱いた場合には、まずは専門家である弁護士への相談をすることを強くお勧めします。