不倫の慰謝料はどのくらい?事前に知っておくべき知識を解説

監修:
弁護士 金国 建吾
2024年02月06日
不倫の慰謝料はどのくらい?事前に知っておくべき知識を解説
不倫が発覚した場合、慰謝料を請求することができますが、その金額や請求のための手続きについては十分に理解しておく必要があります。このブログでは、弁護士の監修のもと、不倫慰謝料の仕組みや算出方法などを詳しく解説していきます。また、不倫問題の解決策や失敗しないためのポイント、実際の事例も紹介しますので、不倫慰謝料に関する疑問を解消しましょう。
目 次

不倫と慰謝料知っておくべき仕組み

不倫が発覚した際に、慰謝料を請求することができるのはご存知でしょうか。不倫による慰謝料の仕組みについて、具体的な内容や法的根拠を詳しく解説していきます。まずは、不貞行為とは何か、そして慰謝料請求の法的根拠について理解しましょう。

不貞行為とは?

不貞行為とは、配偶者以外の第三者と性的関係を持つことを指します。この行為によって、配偶者が精神的苦痛を受けることが一般的であり、この苦痛に対して慰謝料が支払われることになります。

ただし、不貞行為を立証するには、具体的な証拠が必要になります。証拠としては、不倫相手との写真、メール、LINE等のやり取りなどが挙げられます。また、不倫が原因で離婚に至る場合もありますが、その場合には、慰謝料額に反映されると考えられております。

慰謝料請求の法的根拠

慰謝料請求の法的根拠は、民法第709条・710条による「不法行為」にあります。不貞行為によって「財産以外の損害」が観念され、不法行為を根拠として、慰謝料を請求することができます。

ただし、請求するためには、相手方に故意または過失があること、損害が発生していること、行為と損害との間の因果関係が必要になります。

慰謝料の算出方法と相場について

不倫による慰謝料の算出方法と相場は、多くの人が関心を持つテーマです。慰謝料の金額は、具体的な判断基準や増減要因によって変わるため、事前に知っておくことが重要です。慰謝料の判断基準や一般的な金額、増減要因について詳しく解説していきます。

判断基準と一般的な金額は?

慰謝料の判断基準は、法律に明確に定められていないため、裁判所の判断によって異なります。ただし、一般的には、以下のような要素が考慮されることが多いです。

1.不貞行為の程度:交際期間、回数や頻度などが影響します。
2.被害者の精神的苦痛:不倫が原因で受けた精神的苦痛の度合いが考慮されます。
3.不貞行為により、被害者側に生じた婚姻関係への影響(離婚や別居に至ったかどうか)
4.子の有無、年齢、婚姻期間
5.その他の事情

これらの要素を踏まえて、裁判所が慰謝料の金額を判断します。一般的な慰謝料の相場は、100万円~300万円程度とされていますが、個々の事情によって大きく変動することがあります。

増減要因はどのような要素がある?

慰謝料の増減要因として、子どもの存在や年齢:子どもがいる場合、その影響が考慮され、慰謝料が増額されることがあります。

慰謝料の増減要因を理解し、自身の状況に照らし合わせることで、適切な金額を把握することができます。また、慰謝料請求を行う際には、専門家の意見やサポートを受けることが望ましいです。専門家である弁護士は、慰謝料請求の過程や相場に関する知識を持っていますので、適切なアドバイスが得られます。

不倫問題の解決策

不倫問題が発生した際、どのような解決策があるのか、そしてどの方法が適切かという疑問が生じます。解決策としては、自身による交渉、弁護士に依頼したうえでの交渉、裁判などが挙げられますが、それぞれの方法にはメリットとデメリットが存在します。それぞれの解決策の特徴や選択基準について解説し、専門家によるサポートの利用方法についても説明します。

交渉の選択肢とは?

和解とは、当事者同士が協議し合意を得る方法です。このアプローチの長所は、手続きが簡易で、時間と費用を抑制できる点です。しかし、相手方との信頼関係が築けていない、または相手が協調的でない場合、適用が難しいことがあります。

次に、調停は、裁判所への申立て後、裁判官やスペシャリストが仲裁し解決を図る方法です。調停は法的な束縛力があるため、和解よりも確実性が高いといえます。しかしこの方法は、時間と費用がかかることが欠点です。

最後に、裁判は、裁判所で審理を経た後、裁判官が決断を下す方法です。裁判は法的拘束力が最も強く、結果も確実です。そのため、調停や和解が困難な場合に多く選ばれます。ただし、これが最も時間と費用がかかる方法であり、心理的なストレスも大きいという欠点があります。

どの手段を選ぶべきかは、相手方との状況や交渉の進行状況、自身の願望や状況を総合的に考慮し、最善の判断を下すことが求められます。

専門家によるサポートはどう利用できる?

不倫問題の解決において、専門家のサポートは非常に重要です。専門家である弁護士は、法律や手続きに精通しており、適切なアドバイスやサポートが受けられるため、問題解決に向けた手続きがスムーズに進められます。専門家によるサポートを利用する方法としては、以下のようなものがあります。

相談・助言:まずは、弁護士に相談し、問題解決に向けたアドバイスを受けることができます。相談は、電話やメール、直接面談などで行われ、具体的な解決策や手続きについて助言を受けられます。

代理交渉:専門家に依頼して、相手方との交渉を代行してもらうことができます。専門家が間に入ることで、交渉がスムーズに進む場合がありますし、相手方に対するプレッシャーもかけられるため、有利な条件での解決が期待できます。

訴訟・調停の代理:裁判や調停の手続きでは、専門家に代理人として依頼することができます。専門家が代理人となり、手続きや書類作成、法廷での主張などを行ってくれます。これにより、適切な手続きが行われ、自身の権利を守ることができます。

専門家によるサポートを利用する際には、その費用や相談内容に応じた適切な専門家を選ぶことが重要です。また、複数の専門家に相談して、自分に合ったサポートを見つけることも有効です。専門家によるサポートは、不倫問題の解決において大きな力となりますので、積極的に利用しましょう。

不倫慰謝料の支払い方法と期間

不倫慰謝料の支払い方法と期間について解説します。支払い方法や期間は、双方の合意や裁判所の判断によって異なりますので、注意が必要です。ここでは、一般的な支払い方法や期間について説明します。

支払い方法はどのように選ぶ?

不倫による慰謝料の支払い方法は、原則として一括払いが主流です。一括払いでは、全額を一度に支払うことで問題を一挙に解決し、後々の手間を省くことができます。しかしながら、一度に支払う金額が大きいと支払いが難しくなる場合もあります。

一方で、分割払いは一般的ではありませんが、例外的に選択することができます。分割払いは相手方の同意が必要であり、全額支払い完了までに時間がかかり、また相手方が途中で支払いを止めるリスクもあります。

支払い方法の選択は、両者の合意によって決定します。支払い能力や信頼関係などを考慮し、最も適切な方法を選ぶことが重要です。一括払いが難しい場合、弁護士による交渉を通じて分割払いを検討することも可能です。

支払い期間はどれくらいかかる?

不倫慰謝料の支払い期間は、支払い方法や双方の合意によって異なります。一括払いの場合、支払いは一度で完了しますが、分割払いの場合は、支払い期間が長くなることがあります。

支払い期間については、具体的な期間を決めることが重要です。期間を明確にすることで、双方が納得できる形で支払いが進められます。また、支払い期間が長い場合は、金利や遅延損害金などの条件も検討することが必要です。

最終的に、不倫慰謝料の支払い方法や期間は、双方の合意や裁判所の判断によって決まります(裁判所が判決で出す場合には、一括払いです。支払期日が定められることはありません。分割払や支払期日が設けられるのは、あくまで、両当事者の和解が成立した場合です)。そのため、相手方と十分に話し合い、双方が納得できる形で進めることが大切です。また、支払いに関するトラブルが発生した場合は、専門家のアドバイスを求めることも検討しましょう。不倫慰謝料の支払い方法や期間は、個々の事情や条件によって異なるため、適切な対応が求められます。

さらに、支払いが遅れる場合や、相手方が支払いを拒否するような状況が発生した場合に備えて、書面での合意内容の確認や証拠の保管も忘れずに行いましょう。これにより、万が一トラブルが発生しても、自分の立場を守ることができます。

慰謝料請求の影響

慰謝料請求は、当事者だけでなく、家族や職場など周囲にも様々な影響を及ぼすことがあります。特に、子どもや職場関係者にどのような影響が出るのかを考慮し、適切な対応を行うことが大切です。ここでは、子どもへの影響と職場や社会的な影響について考察します。

子どもへの影響を考慮すること

不倫が原因で慰謝料請求が発生した場合、子どもにも大きな影響が出ることがあります。特に、親の不仲や離婚が原因で子どもの心に傷がつくことも少なくありません。そのため、慰謝料請求を行う際には、子どもの心情や今後の生活を考慮し、できるだけ円満に解決することが望ましいです。
子どもの将来に対する負担を最小限に抑えるための配慮が必要です。

職場や社会的な影響

慰謝料請求が職場や社会的な影響を及ぼすことも考えられます。例えば、請求を受けた相手の職場にしらされる等、その立場が危うくなる可能性や、両家族間の関係が悪化するリスクがあります。

このような影響を最小限に抑えるためには、慰謝料請求の手続きや交渉をできるだけ円満かつ迅速に進めることが重要です。また、専門家のアドバイスを受けながら、適切な対策を講じることで、不足の事態を回避、緩和できるでしょう。

不倫の慰謝料請求で失敗しないためのポイント

不倫の慰謝料請求を行う際には、失敗しないためのポイントがいくつか存在します。証拠収集の方法と注意点、期限や書類の準備が重要となります。これらを適切に行うことで、スムーズかつ円満に慰謝料請求を進めることができるでしょう。

証拠収集の方法と注意点

不倫の慰謝料請求を行う際には、まず相手方の不貞行為を立証するための証拠収集が必要です。証拠として有効なものには、写真や動画、メールやLINEのやり取りなどがあります。

ただし、証拠収集の方法には注意が必要で、相手のプライバシーを侵害するような行為は避けるべきです。また、違法な手段で証拠を入手した場合、かえってこちらがその違法行為についての責任が生じる場合が考えられるほか、違法の程度によって、裁判では使用できない場合もあります。証拠収集の際には、できるだけ第三者の協力を得ながら、確実な方法で収集することが望ましいといえます。

期限や書類の準備すること

慰謝料請求を行う際には、期限や書類の準備も重要なポイントです。慰謝料請求には時効がありますので、不倫が発覚した後、速やかに手続きを進めることが大切です。また、請求書や証拠資料など、必要な書類を整理し、適切な手続きを行うことが求められます。

専門家に相談し、適切な手続き方法や期限を把握することが望ましいです。また、書類の作成や手続きには専門的な知識が必要なこともありますので、弁護士に依頼することも検討しましょう。これらの準備を行うことで、慰謝料請求の成功率を高めることができます。

不倫慰謝料の請求事例

事例1

夫の継続的な不貞行為を発見した依頼者において,相手方を特定のうえ,損害賠償請求をした事案。なお,不貞相手より,依頼者の事実関係の聞き取りの過程において精神的損害を被ったとして,逆に損害賠償請求がなされた事案。

事案

依頼者の夫は,仕事の関係で知り合った独身女性と不貞関係に至ったが,それが依頼者に発覚した後,不貞相手とされる女性は,依頼者が不貞相手の女性から詳細な事実関係を聞き取る過程において脅迫行為があったと主張するに至り,損害賠償を主張する等して,依頼者の損害賠償請求について争っていた。
 また,相手方は,求償権(相手方から依頼者の夫への求償権の行使)を踏まえた一括解決を主張するほか,既に夫婦間における示談解決があったと主張(つまり,依頼者の損害は既に弁済されている可能性があるという趣旨の主張である)するに至り,慰謝料の支払い自体を争うほか,請求したその具体的金額についても争うに至った事案である。

対応策と結果

当事務所弁護士が受任し,相手方との交渉過程では,①そもそも,依頼者の夫婦間における示談の事実は不存在であることを丁寧に説明したほか,②求償権行使の予定を踏まえた解決を依頼者において強制されるいわれがないことを主張し,上記を理由とした相手方の減額交渉に応じませんでした。それから,相手方の主張する損害賠償請求の発生原因について,丁寧に精査したうえ,相手方の主張する請求が法的に成り立たないものであることを詳細に説明しました。加えて,相手方の主張する損害の内容が具体性に欠き,やはり,損害の発生の主張として不適当である旨を説明してあるべき解決に至るよう努力しました。
 その結果,弁護士が冷静に交渉を続けたところ,相手方が自身の言い分に法的根拠のないことを理解した為か,結果的には,相手方が主張する損害賠償請求は否定されることを前提として,金100万円の損害賠償を支払う旨の解決に至りました。なお,その解決内容としては,上記賠償のみならず,今後の接触禁止条項も加え,さらには,かかる接触禁止条項に違反した場合の違約金も設定したうえでの解決までたどり着くことができました。
 このように,不貞の事案では,相手方であっても感情的になることはあります。大切なのは,感情に流されることなく,冷静沈着に,依頼者や相手方の言い分を整理し,法律に当てはめて結論を導くことにあります。また,依頼者の強い考え,意思を尊重したうえ,事案に応じた解決策を模索することが重要であることを改めて考えさせられた事案といえます。

事例2

再度の不貞行為を理由に,200万円を獲得した事例

事案

依頼者の夫が,過去に不倫をし,依頼者と不倫相手との間で,接触禁止条項を定めた公正証書を作成していました。ところが,その後,再度同一の女性との間で不倫をした事例です。
 公正証書では,接触禁止条項に違反した場合,違約金として100万円を支払わなければならないという定めになっていました。

対応策と結果

当事務所は,女性に対して訴訟を提起し,不法行為に基づく慰謝料と,接触禁止条項に違反した違約金とを二本立てで請求しました。その結果,総額で200万円の支払い命令を獲得することができました。
 合意書や公正証書等において,接触禁止条項を定めたにもかかわらず,それに違反して再度不貞行為をした場合,請求の仕方によっては多額の慰謝料等が認められることもあります。
 このような場合,どのような形で請求するかについて,かなりの工夫する必要があります。本事例は,そのような工夫をした結果,多額の慰謝料等を獲得できた事例といえます。

事例3

調査会社とも協力して,不貞行為の相手方を特定できた事案

事案

依頼者の妻が男性と不貞関係にあると窺われる状況証拠(深夜に帰宅,金銭の浪費,手紙,避妊薬等)を入手したものの,不貞相手が誰かはわからない事案でした。依頼者は,不貞相手の特定に至っていない段階で,当事務所へ相談に来られました。

対応策と結果

当事務所が受任後,依頼者から依頼者の妻の行動パターンを詳細にお聴きした上で,不貞行為に及ぶと予想される日を複数ピックアップし,調査会社(探偵)にも依頼しました。その結果,不貞相手の男性を特定することができ,その男性から慰謝料を獲得することができました。
 「配偶者が不貞行為をしているけど,不貞相手がどこの誰かわからない・・・。」というご相談も,しばしばお受けします。
 そのようなときも,配偶者の行動パターンや,携帯電話の番号などから,不貞相手の氏名や住所を割り出すことができることもあります。携帯電話の番号などのように,弁護士ならではの調査方法もあります。
 それに加えて,この事例のように,不貞相手を割り出すにあたって,調査会社(探偵)とも協力して調査していく場合もあります。
 慰謝料を請求したいけど,不貞相手がどこの誰だかわからない・・・とお悩みの方は,ぜひ一度,当事務所までご相談下さい。

監修:
弁護士 金国 建吾
愛知県豊田市出身、明治大学法学部卒業、中央大学法科大学院卒業、 弁護士登録(愛知県弁護士会)、清水綜合法律事務所勤務(愛知県名古屋市)を経て、金国法律事務所開設

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