不倫の証拠

監修:
弁護士 金国 建吾
2024年02月06日
不倫の証拠
不倫問題は、単に個人的な感情の問題にとどまらず、しばしば法的な争いの火種となります。特に、離婚訴訟や慰謝料請求などの法的な問題に発展する際、確固たる証拠の存在は裁判所における判断の重要な基準となります。この記事では、不倫の証拠の重要性と、その証拠が持つべき特性、そして法的および倫理的な側面について詳しく掘り下げていきます。
目 次

不倫の証拠の重要性

不倫関連の訴訟では、主張や反論に信憑性を持たせるために、確固たる証拠が必要です。ここでは、不倫の証拠が重要とされる理由と、その証拠がどのような特性を持つべきかを解説します。

なぜ不倫の証拠が必要となるのか

不倫を巡る問題は、単なる言い分や主張だけでは解決に至りません。特に、相手が不倫行為を否定し、離婚訴訟や慰謝料請求などの法的な問題に発展した場合、不倫の事実を立証する証拠が必要となります。

不倫の証拠で重視されるポイント

不倫の証拠として重視されるのは、その客観性と信憑性です。個人的な感情や偏見が交じることなく、合理的に事実を推認するものである必要があります。例えば、不倫相手と思われる人物の写真や、メールやSNSのメッセージ交換記録などは、客観的且つ自発的な証拠として強い証明力を持ちます。

不倫の証拠の種類

不倫の相手の特定

不倫相手の特定は、法的な問題解決において非常に重要です。不倫相手を特定することにより,初めて法的な責任追及が可能となり、不倫相手との間で示談交渉をしたり、裁判という手続を採ることもできるようになります。そのためには,不倫相手の氏名、住所、連絡先、職場などの具体的な情報が必要となり、それら情報を収集することが不倫の解決の第一歩となります。

不倫行為の特定

不倫行為を証明するためには、肉体関係の存在を示す証拠や、交際関係を示唆する資料が必要です。これには、二人が一緒にいる写真、ホテルのレシート、愛情表現が含まれるメールやメッセージの履歴などが含まれます。これらの証拠は、不倫行為の具体的な証拠として、法廷での主張を裏付ける重要な要素となります。

不倫の証拠の収集

不倫の証拠としては多様な種類があり、それぞれ収集方法も異なります。効果的な証拠収集は、不倫を証明する上で非常に重要です。

自分で収集する場合

自分で証拠を収集する場合、何よりも適法性を考慮することが重要です。盗聴やプライバシーの侵害など、違法な方法で収集された証拠は、その違法性の程度によっては証拠能力を失うおそれがあります。また、別途、損害賠償の問題を生じてしまいかねません。安全で合法的な方法で証拠を集めることが、後の法的な問題を避けるために重要といえます。例えば、公共の場での写真撮影や、メールやメッセージのやり取りの記録など、合法的に入手可能な証拠を中心に収集するべきといえます。

興信所を利用する場合

一般的には、専門的な技術と経験を持つ興信所に依頼することで、より効率的かつ効果的に証拠を収集することができるといえるでしょう。専門的な技術と経験を持つプロフェッショナルが調査を行うことになりますので、自分で集めるよりも高い精度で証拠を収集が期待できます。しかし、興信所を利用する場合は、費用の問題を考慮する必要があります。

興信所による調査費用は、調査内容や難易度、調査期間等によって千差万別であると思われます。また、成功報酬型と時間制といった費用設定も様々であると思われます。それゆえ、興信所を利用する場合には、かかる費用についての説明をきちんと受け、理解したうえで、発生する費用の見通しをもって選択することが必要であるといえます。

調査の法的制限と倫理について

不倫の証拠収集においては、法的な制約と倫理的な問題に十分留意する必要があります。適法な方法で証拠を収集することが、証拠の信憑性を保つ上で不可欠だからです。

法的制約としては、個人のプライバシーを侵害するような証拠収集方法は好ましくないといえます。違法な方法で収集した証拠も、法廷での証拠能力は認められますが、違法な方法で収集しては、新たな問題を生じる可能性(例えば、調査対象者からの損害賠償請求)もあり得るため、証拠収集の際には法的制約に沿った内容で行うことが重要です。倫理的な観点からは、他人のプライバシーを尊重し、違法または不適切な方法での証拠収集を避けることが求められます。証拠収集の過程で不必要に他者の名誉を傷つけたり、関係者間の関係を悪化させたりすることは避け、当事者周辺への配慮が必要といえます。

証拠収集中に遭遇するトラブル

不倫の証拠を収集する際には、様々なトラブルに直面する可能性があります。ここでは、これらのトラブルとその対処方法について説明します。

データ漏洩の危険性と防衛策

不倫の証拠としてデジタルデータを使用する場合、データ漏洩のリスクが存在します。スマートフォンやコンピューターのセキュリティが不十分な場合、重要な証拠が第三者の手に渡る危険があります。これを防ぐため、パスワードの強化、二要素認証の利用、信頼できるセキュリティソフトウェアの使用など、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。

電子データとしての保管・管理の重要性

収集した証拠を電子データとして保管する場合、データが損失や破損のリスクにさらされないように、定期的なバックアップを取ることが推奨されます。また、デジタル証拠の信憑性を保つためには、その生成、保存、転送に関わるすべてのプロセスを記録し、証拠の完全性を保つことが重要です。

不倫の証拠を見つけた後の対処法

不倫の証拠を発見した後は、それをどのように扱うかが重要になります。適切な対応を取ることで、証拠の効力を最大限に活用し、法的な紛争の解決に役立てることができます。

浮気が発覚した直後にするべきこと

不倫の証拠を発見した直後は、冷静な判断が求められます。時に、感情的になってしまい、自らが見た証拠を保存することを失念してしまったというケースもあります。不倫の事実関係に関する情報(不倫が開始された時期、現在の状況、および不倫の具体的な内容など)を確実に保存し(例えば、LINEの会話記録を画像として残しておくことや、データ化しておくこと等)、安全な場所で確実に保管し、必要に応じて更なる証拠を集めることも考慮に入れる必要があります。特に、これらの記録を裏付けるために、関係者からの具体的な供述があれば、その証拠は、互いに補強し合うといえます。可能であれば、関係者の供述を書面で残し、録音をして残しておくことが望ましいといえます。事実関係の詳細を聴取し、関連する証拠を集めることで、裁判所での自身の主張を裏付ける重要な基盤を築くことができます。

弁護士に相談するタイミングと選び方

不倫の証拠を見つけた後は、できるだけ早めに弁護士に相談することが重要です。これは、証拠を収集する過程や、法的手続きを開始する前に、専門的なアドバイスを受けることで、適切な戦略を立てることができるためです。特に、これから証拠を収集する場合、違法な収集方法を避け、証拠の信憑性を確保するためにも専門家の助言が有用といえます。
弁護士を選ぶ際には、その専門分野や経験等を考慮することが重要です。特に、離婚訴訟に精通している弁護士は、不倫に関連する問題を扱うことが多く知識を有していることが多いと思われます。また、信頼できる弁護士との良好なコミュニケーションは、法的プロセスをスムーズに進めるためにも非常に重要であるため、相談時における印象等も重要といえるでしょう。

証拠を相手に提示するリスクと管理方法

証拠を相手に提示することは、時にリスクを伴います。相手が逆上して、証拠を隠滅する可能性もあるからです。そのため、証拠の提示は慎重に行う必要があります。また、証拠を適切に管理し、法的手続きのために必要な状態を保つことも重要です。証拠のコピーを取り、オリジナルは安全な場所に保管することをお勧めします。

監修:
弁護士 金国 建吾
愛知県豊田市出身、明治大学法学部卒業、中央大学法科大学院卒業、 弁護士登録(愛知県弁護士会)、清水綜合法律事務所勤務(愛知県名古屋市)を経て、金国法律事務所開設

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