早期の離婚を求め、高額な婚姻費用を免れた事例
相談背景
婚姻してから数か月後、妻が夫(依頼者)名義のキャッシュカード、通帳、クレジットカードを持ち出して別居するに至ったという事案。また、別居後、妻は多額の浪費を繰り返し、夫名義で多額のクレジットローンも組んでいた。
弁護士対応
妻が多額の浪費をしていたり、夫に無断で借金を重ねていたような場合、財産分与や慰謝料のカテゴリーで考慮されることがあります。本件事案でも、その点を離婚調停や離婚裁判の手続の中で主張していくことが考えられましたが、妻は離婚自体を争っている上、また、夫の年収が高く、毎月、高額の婚姻費用が発生するという状況にあり、仮に、妻の浪費や借金について、最終的に財産分与や慰謝料の中で考慮させようとすると、長期にわたり、離婚調停・裁判の手続を続けなければならないことが予想されました。
そうすると、夫は、離婚の結論が出るまでの間、高額の婚姻費用を支払い続けなければならないため、下手をすれば、妻の浪費や借金を理由に財産分与や慰謝料の点で夫に有利に働かせようとしていたにもかかわらず、婚姻費用の負担額の方が遥かに大きくなってしまうという結論にもなりかねませんでした。
そこで、夫から妻に対して、浪費や借金のことは不問に付し、むしろ、1年分の婚姻費用相当額を解決金として支払うことを提示し、早期の離婚を求めました。
結果・ポイント
そうしたところ、妻が、その提案に応じ無事離婚が成立しました。妻としては、浪費や借金を理由に、財産分与や慰謝料として何らかの支払義務を負う可能性があることが懸念材料でしたでしょうから、夫の提案を魅力的に感じたものと思われます。
夫としても、妻の浪費や借金については諦めるという形を採ったものの、長期化することによる高額の婚姻費用の支払いを免れた点で、経済的なメリットがありました。
離婚と婚姻費用は法的には別問題ではあるものの、両者が全体的な解決においてリンクすることは非常に多く、そのバランスをどのように調整するのかが、解決のポイントとなり得ます。