養育費を払わない元夫に対して、履行勧告をした事例
相談背景
Aさんは、約2年前から夫Bと別居していましたが、もはや修復の可能性がなかったため離婚することになりました。その時Aさんにはもうすぐ中学生になる12才の息子がいましたが、別れた元夫Bは借金を抱えているなどと言って、子どもの養育費を全く支払ってきませんでした。
弁護士対応
Aさんは離婚する際に離婚協議書などで養育費の定めをしていなかったため、裁判所に養育費請求調停の申立てを行いました。
調停では、Bは借金があることや収入がないことなどの主張をしていましたが、そのような主張はすべて排斥され、Aさんに養育費を支払うことで調停が成立しました。
ところが、調停が成立しても、一度もBから養育費の支払いがありませんでした。そこで、裁判所に対し、調停条項に従った養育費を支払うよう「履行勧告」の申出を行いました。
弁護士対応
裁判所から養育費の支払いを強く勧告されたBは、未払分も含めて養育費を支払うようになりました。その後も毎月調停で決められた養育費の支払いがなされており、Aさんは安心して生活することができるようになりました。
養育費などの家事事件では、「履行勧告」という手続きがあり、簡易な手続で費用もかからないので負担の少ない制度です。履行勧告は強制執行と違って強制力があるものではありませんが、勧告に従わなければ強制執行も辞さない構えであるという強い姿勢を示し、また裁判所から勧告がなされるために相手に与える心理的圧力も効果も相応に期待できます。
本事例では、履行勧告の長所が効いて、早期の解決に至ることができたといえるでしょう。