ダブル不倫における4者間での慰謝料請求の事例
相談背景
婚姻をしている女性(依頼者)が、既婚男性と不倫関係を結び、既婚男性の妻から慰謝料請求をされたというダブル不倫の事案。
以下では、依頼者女性をA、依頼者女性の夫をB、不倫相手の既婚男性をC、不倫相手の既婚男性の妻をDと表記する。
弁護士対応
ダブル不倫の事案では、不倫をしている当事者はそれぞれ婚姻をしているため、互いの配偶者がそれぞれ不貞相手に対し慰謝料請求をし得る関係になります。
本件では、まず、DがAに対し慰謝料の支払いを求めてきました。上記しましたとおり、BもCに対して慰謝料の支払を求め得る関係にありましたので、これを対抗策として、A、B、C、Dの四者間において0和解をすることを目標として、D側の代理人弁護士との間で、交渉を開始しました。ところが、Cが、Aが婚姻をしていることを知らなかった(不貞行為につき故意がない)と主張し、四者間での和解に応じるにしても、Aにいくらかの慰謝料を支払って欲しいとの要望をしてきました。A・Bとしては、本来、0和解を目指せる事案であったため、慰謝料の支払いを拒否したところ、DがAに対し慰謝料の支払いを求めて裁判を提訴しました。そこで、その裁判と並行する形で、BもDに対し慰謝料の支払いを求めて裁判を提訴しました。特に、後者の裁判では、Cが、Aが婚姻をしていることを知らなかった否か(故意の有無)、又、仮に知らなかったとしても、知らなかったことにつき不注意があったか否か(過失の有無)、が争点となりました。そこで、AとDのラインメッセージのやり取りを詳細に検討し、Aが婚姻をしている事実をDが認識していたと評価し得るラインメッセージを証拠として提出し、裁判所にDが不貞行為につき故意があったとの心証を抱かせることに成功しました。
結果
最終的には、裁判所にて四者間での0和解をすることとなり、互いに慰謝料を支払うことなく、解決に至りました。
上記しましたとおり、ダブル不倫の事案では、不倫をしている当事者はそれぞれ婚姻をしているため、互いの配偶者がそれぞれ不貞相手に対し慰謝料請求をし得る関係になりますが、今回の事案のように、一方当事者が、不貞行為につき故意・過失が存在しないと主張して、慰謝料の支払いを拒否することがあり、場合によっては、その主張が認められてしまうこともあります。また、不貞が発覚したことにより、一方の夫婦が離婚をしてしまう場合もあり、そうなってしまうと、四者間での和解を実現することは困難となります。ダブル不倫の事案では関係者の数が増えるため、その分、解決の仕方も様々ですので、専門家にご相談されることをお勧めします。