夫の不貞相手に慰謝料請求をおこなった事例
相談背景
依頼者(妻)と夫は婚姻してから子をもうけ円満な家庭を築いていたところ、夫がいわゆるマッチングサイトというネット上のアプリケーションにより知り合った女性と交際していた事実が発覚し、依頼者が不貞相手(相手方)に対し、慰謝料請求を行った事案。
弁護士対応
相談段階では、まずは、相手方と夫との交際の事実を立証する客観的思料を集めることが重要であると判断し、そのやり取りを全て集めてもらい、いわゆるSNSを通じた会話履歴等を全て擦りだし、両当事者の関係性を読み取ることから開始しました。また、SNSを通じた関係においては、婚姻の事実を秘匿したまま交際しているケースも想定されるため、相手方において、不貞交際を行っているという事実認識(故意)に欠いているという反論も想定され得るため、「故意」の立証材料についても注意深く検討を加えました。
このようにして、不貞交際の事実、両当事者が交際するに至った経緯、相手方の認識等、事実関係を確定させたうえで、相手方から想定される反論内容も想定しつつ、相手方への請求を行っていきました。請求後には、相手方から、①交際開始時における態様、②交際開始当初における故意の問題、③婚姻関係破綻の事情等の幾つかの反論がなされ、減額方向での反論が展開されました。
しかしながら、上記のとおり、当初の段階から、相手方から展開される反論内容を想定のうえで証拠収集及び請求内容を検討していたため、資料に沿って粘り強く交渉を続けました。
また、この種の事案では、過去の行為に対する賠償問題もさることながら、今後の取り決め(主に、守秘義務であったり、接触禁止のための条項)も重要であることから、可能な限り、依頼者の利益や今後の期待を守ることのできる解決方法を探り、交渉を続けました。
結果
上記交渉の結果、相手方は、依頼者側の重要視していた金銭解決及び今後の接触禁止条項について受け入れ、無事に合意解決に至りました。
裁判による解決(判決)の場合には、金銭賠償の原則から、具体的な賠償額が示されるに過ぎず、将来的な接触禁止条項等については、触れられるものではありません。それゆえ、裁判所から判決を得るということだけが、依頼者の利益に適う解決方法とも言い切れない場面も御座います。ですので、依頼者の最も重きを置く部分を汲み取り、より依頼者の意向に沿った解決内容を模索し、目指すことが重要な事案であったといえます。
それらに加えて、今回の事案では、依頼者による資料収集の労も相当なものであったため、その点において、弁護士のみならず、依頼者の協力も非常に重要であったといえます。いわば、弁護士・依頼者との二人三脚により得た解決という事案であったといえます。