暴力により別居したが離婚を拒否され、離婚調停で早期解決に至った事例
相談背景
Aさんは、5年前に夫Bと結婚し、一児をもうけて順調な家庭を築いてきていました。
ところが、2年ほど前から育児をほとんど手伝ってくれない夫との間で口論が絶えなくなり、喧嘩がひどくなると夫Bから暴力を振るわれるまでになりました。Aさんは、その状況に耐えられなくなり、ついに1年半前に実家に戻って別居することになりました。
Aさんは、別居後から夫Bに離婚したいと伝えたものの、Bからは仕事が忙しいなどと言われ、Aさんに対して真剣に対応する様子がありませんでした。
弁護士対応
相談にこられた時のAさんは、夫Bから暴力を受けていたこともあって、今後Bとやり直していく意思はないとのことでした。夫婦間では、Aさんから何度も離婚の意思を伝えていたものの、まともに取り合ってくれない状況でしたので、任意での解決は困難と判断し、家庭裁判所に離婚調停を申し立てました。
家庭裁判所では、Aさんの離婚の意思が固いこと、既に別居期間が長期化しており婚姻関係が修復される見込みがないことを主張しました。なお、本ケースでは、夫からの暴力もあったため、この点を積極的に主張して慰謝料も含めて調停を進めていく方法もありました。しかし、Aさんには暴力を受けたことの確たる証拠(ケガの写真や診断書など)がなく、立証の面でハードルがありました。また、暴力を争点にすると、夫側が逆上して激しく争ってくる可能性もありました。
そこで、早期に離婚を成立させるため、離婚原因を暴力にせず、別居期間が長引いていることを主たる離婚原因にしていきました。
弁護士対応
Bは当初は離婚に同意していませんでしたが、家庭裁判所の調停委員会からの説得もなされた結果、最終的に調停離婚が成立しました。また、調停の中で、子どもの養育費や財産分与についてもきちんと取り決めがなされ、Aさんの今後の育児も安定が見込める状況で解決することができました。
一般的に、別居期間が2年以上になると、裁判実務では婚姻関係が破綻している可能性が高いとして、離婚原因の一つとして認める傾向になっています。本件では、Aさんの要望が早期の離婚にありましたので、激しく争うことが予想される暴力を争点にせず、別居期間に重きを置くことで、早期の解決に至ることができました。