不貞相手が慰謝料を全く支払ってくれない場合どうすればいい?
訴訟によって不貞相手に対して慰謝料を請求し、100万円を支払えとの確定判決を得ました。しかし、それでも不貞相手は慰謝料を全く支払ってくれません。このような場合、どうすれば良いでしょうか?
慰謝料を支払えとの判決を得たとしても、裁判所が自動的に不貞相手から慰謝料を回収してくれるわけではありません。判決が出ても相手が任意に支払ってくれない場合、あなたが裁判所に対し、相手の財産の差押え命令を申し立てることによって、判決で認められた慰謝料の回収を図る必要があります。これを強制執行といいます。強制執行の方法としてどのようなものがあるかを簡単にご説明します。
例えば、相手の勤務先がわかっている場合、給料債権を差し押さえることが考えられます。月々支払われる給料から、判決で認められた慰謝料を回収していきます(ただし、月額33万円までの部分については、その4分の1のみを差し押さえることができます。相手の最低限度の生活を保障するためです)。配偶者と不貞相手が同じ勤務先である場合など、不貞相手の勤務先がわかっている場合は比較的多くあります。
また、相手の預貯金の口座が判明している場合、その預貯金債権を差し押さえることが考えられます。預貯金の場合、金融機関名と支店名が判明していれば、差し押さえることができます。口座番号までわかっている必要はありません。預貯金口座の差し押さえの場合、給料と異なり月ごとの回収ではなく一括での回収を図ることができますし、4分の1の制限もないので、差し押さえの方法としては非常に効果的です。ただし、そもそも不貞相手がどの金融機関に預金口座を有しているのかわからない場合が通常ですので、不貞相手の預金口座を差し押さえることができるケースはそれほど多くないでしょう。
さらに、相手が自宅土地建物等の不動産を所有している場合、その不動産を差し押さえることが考えられます。不動産を差し押さえ、これを競売にかけて金銭に換価することによって、慰謝料の回収を図っていきます。不動産は債権よりも処分するのに時間がかかりますから、最も確実に差し押さえることができる財産です。その一方で、不動産を差し押さえるためには裁判所に対して予納金を納める必要があり、その捻出に苦慮する場合もあります。また、住宅ローンが組まれている等で不動産に抵当権が付されている場合、抵当権者が優先弁済権を有していますから、不動産から回収することができない(あるいは慰謝料の一部しか回収できない)場合もあります。
ご質問の場合、不貞相手がどのような財産を持っているのかをよく精査する必要があります。その上で、一番効果的な回収方法を見極めていくことになります。
ご自身の場合で慰謝料をどのように回収するのがよいかを判断するには、詳しくお話をお聞きする必要があります。慰謝料の回収でお困りの方は、是非一度弁護士までご相談下さい。
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